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第8章 glace

「行くなら卒業後すぐに発つことになります。でも、俺、本当にどうしていいかわからなくて……。こっちで製菓学校通いながら店手伝ったっていいかなとか、いろいろ考えてるけど」

マジで、どーしたらいいかわかんねぇ……苦しげに歪む表情。

本当は、行ってほしくない。
かぐや姫に月へ帰らなければならない、と告げられたときのおじいさんのように、何がなんでもとめたい。

でも、行かせてはあげたい。

俊太にとって一番大切なものの天秤の片方に乗れただけで、幸せだって思いたい。

「……パリに行っておいでよ。連絡だって毎日するし、あたしずっと待ってるよ」

「莉乃さん……」