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ママ活
第4章 愛しのお姉様と姫とママ

 露天風呂に浸かって、岩場のすぐ向こうの海を眺めながら、明咲は佳歩と長話した。

 大学在学中は交流もなかった彼女と、就職した春以来、話題が尽きない。
 顔を合わせればいつでも砂時計が急降下していく錯覚を起こすくらいには、一緒にいて心地が良い。


「自立してしっかり暮らしている明咲ちゃんの方が、キラキラしてるよ。一人暮らししたら、どこかでキツくなるって聞くのに、夕飯の話したら自炊していて、毎日、お洋服やメイクもちゃんとしていて」

「動きが速いから、かな。お母さんが、彼氏の前でしか家事しない人だったから……」

「そのお母さん、迷惑かけてこない?今もまともじゃないんだよね」

「音沙汰もないよ。私なんか、忘れちゃったかもね」


 佳歩は、それ以上を追求しなかった。

 明咲の特殊な家庭事情を、彼女は知っている。二ヶ月近く付き合っていれば、小出しに話さざるを得なかった。

 並行して、彼女も自身のことを話した。

 朱色に染まった海と同じくらい火照った肌に、温泉特有の匂いを連れた湯を手のひらで浴びせながら、とりわけ最近の過去を振り返る彼女。

 JILL STUARTの美容部員にならなかったのは、入社試験も受けなかったからだという。ある時期を境に、彼女の想いは学生時分からの夢より優先すべき事柄が占めるようになって、佐和子の会社こそ、結果的には第一志望になったという。
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