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禁愛
第9章 気持ちの変化
好きだけど…好きと言ってはイケない…。

そんな気がした・・・。

和歌子が自分の気持ちに嘘を付いてはダメだと言われたけど…

好きだと言ったら、全て崩れてしまいそうな気がした。

「栞奈…」

「・・・・・・・」

亨は栞奈の気持ちを察知したのか、再び手を握りしめ

さっきよりは、かなり強い力だった。


「栞奈が笑っててくれれば、俺はそれで良い…俺のせいで栞奈が苦しむなら
 俺は、お前を諦めるよ…この先の事は栞奈が決めて良い…」

「私…ずるい…」

「俺が、悪いんだよ…」

「違う!あなたは何度も私を助けてくれた…あなたは何も悪くない…」

栞奈は必死に涙を堪えた。

『ここで泣いたら本当に私はズルい女になる…』

しかし…亨はそんな栞奈の心が分かるかのように

「栞奈…泣いて良いんだよ…」

そう言うと、亨は栞奈を強く抱きしめた。

栞奈の目からは一気に涙が溢れ、亨の胸に顔をうずめ思い切り泣いた。

「ごめんな…栞奈…ごめん」

亨も泣いているのか声がこもって聞こえた。

「立花君は…」

「何も言うな…栞奈、何も言うな…」

亨は抱きしめながら背中を優しく擦ってくれた。

しばらくして、

「立花君…時間を下さい…本当にごめんなさい…本当にごめんなさい…」

「良いよ…待つ…どんな結果が出ても俺は受け入れるよ」

亨は、とても優しい声をしていた。
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