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君とメメント・モリ
第11章 12月25日夜 復讐はクリスマスの夜に
死神が立っていた。
動揺する凛の横で、夏美が、ひゅっと息を呑むのが分かった。一瞬で瞳に潤んだ膜が張られ、頬がほんのりと赤く染まる。

「スイートが取れた。行こう」

凛の腰に死神は手を添えた。凛は死神に誘導されながら慌てふためいた。

スイートルームはこのホテルに十五室あるデラックスルームよりもはるかにランクが高く、二部屋しか存在しないはずだった。

死神の手によって夏美から強引に引き剥がされた凛は、背後に残した夏美を振り返った。

立ち尽くす夏美は、愕然とした表情で死神の背中を見つめていた。
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