この作品は18歳未満閲覧禁止です
無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第6章 伍の巻
「姫、あなたはその無邪気な、時にあどけないともいえる愛らしい笑みで男を惑わせる。あなたのその穢れのない美しさに男は皆、心奪われてしまうのだ。だが、あなたは自分が男を魅きつけてやまぬことなど、一切気付いてはいない。それは最も重い罪だ、姫、あなたは男の心を惑い狂わせる魔性の女だ」
―そなたには男を狂わせる魔が潜んでいる。そなたは、その無邪気な虫も殺さぬ可愛い顔で、男を誑かす。
かつて、公子にこう囁いた男がいた。