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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~
第6章 伍の巻
 その鬼丸一味は常にたった二人だけで行動するという。顔も背格好も全く同じ、瓜二つの双子で、その容貌も呼び名に相応しい鬼瓦のような怖ろしげなものだとか。
「あ―」
 公子は一瞬、恐怖に身が竦んだ。
 二人組の盗賊、鬼丸一味。
 この男たちがそうであるという確証はない。しかし、眼の前の二人の風貌は噂に聞いている冷酷であくどい盗賊一味にぴったりと符号していた。
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