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ネコの運ぶ夢
第4章 雨の日のネコ
〜The cat on a rainy day〜

雨が、降っている。
小学生の私は他に行くところがなくて、いつもの公園に行った。
中央にある、ゾウの形をしたすべり台。その中に入ってうずくまっていた。

サラサラと降る雨音の中に、ネコの鳴き声が混ざる。

「にゃー」

膝を抱えた私の腕にするりとネコのみーちゃんがすり寄ってきた。
私は顔を上げ、そっとみーちゃんの頭をなでた。

「みー」

みーちゃんが甘えた声で私の手におでこをこすりつける。
温かいなあ・・・。
みーちゃんが私を不思議そうに見ている。
きっと、私、今、酷い顔をしている。

「みーちゃん・・・」

みーちゃんが私の膝にぴょんと乗ってきたので、きゅっと抱きしめる。
ふわふわと温かいネコの体。抱きしめていたら、涙が出てきた。

うぐ・・・えぐ・・・う・・う・・・

涙が、あとからあとから、こぼれてくる。
なんで泣いているのか、自分でも分からなかった。灰色の雨は冷たい。何もかも冷やしていく。この世界でたったひとりで、誰も助けに来なくて、みんな私に背を向けていて、灰色の雨が、世界を閉ざしていて。
怖い・・・ひとりでいるのは・・・怖いよ。

ただただ雨が降り注ぐ中、みーちゃんだけが、温かい。
みーちゃんだけが色がある。

『役立たずは出ていけ』

出ていけ、出ていけ、出ていけ、その言葉が呪いのように心の中を何度もぐるぐるした。

私はみーちゃんをぎゅっと抱きしめる。
みーちゃんは私の顎に頭を擦り付けてくる。

「みーちゃん・・・私、ネコになりたい・・・」

ネコは毎日自由で、
役に立つとかじゃなくて、そこにいてよくて、
そして、こんなにも温かくて、優しくて・・・。

私もネコになりたい・・・。
ネコに、なりたいよ。
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