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ネコの運ぶ夢
第7章 七夕に願うネコ
〜The cat looking up at the stars〜

暑い・・・。去年の夏も暑かったが、今年の夏もまた暑い。
熱中症で全国津々浦々老若男女に被害が出ているのも頷ける。

我が家も例外ではなく、暑い。ボロアパートながら、一応クーラーもあるし、扇風機もあるが、やはり外気温が高いので限界があるのだろう。

今日は日曜日だ。外は灼熱だが、涼を求めてどこかに避難するのもいいかもしれない。
そんなふうに考えている背後で、さっきから音子は扇風機に向かって「あー」っと声を出している。扇風機の風で震える声を楽しんでいるようだ。

Tシャツ姿で、扇風機に向かってる音子。風になびく長い髪が、なんだか懐かしい日本の夏を感じさせる。
若干、ドキドキする。やめて欲しい。

「音子・・・暑いから、どっか出かけないか?涼しい所。」
「お出かけ!お散歩!行きます!行きます!!」
はいはいはーいと手を挙げる。こいつのこういう仕草がいちいち可愛らしいのは本当に、色んな意味で毒だ。

音子はいそいそと準備をする。といっても、服装はそのままで帽子を被るぐらいだ。一応、薄い上着を着ようとしていたが、むーっと外の景色をにらみ、やめたようだ。

俺も、このまま外に出られる。50のおっさんなので、特に服装にこだわりはない。こだわったほうがいいのだろうが、正確に言えば金がない。

この天気だと、音子は日傘があったほうがいいかもしれないな・・・。
「どこに行きます?」
「ちょっと買い物に行こう。デパートなら涼しいだろう。」
ついでに、音子にも甘いものでも食べさせてやろう。

先日のハンバーグの一件が頭をよぎる。結局、音子は泣いた理由を説明しようとしなかった。あの涙は、嬉し泣きだよな・・・。でも、なんで、俺のハンバーグごときで?

思い出のなにか、だったとか?

まあ、とにかく、俺が作ったハンバーグであれだけ感動されると、こっちもほだされてしまう。ちょっと、美味しいものを食べさせてやりたい、などと思ってしまっているわけだ。
言うと調子に乗りそうなので、言わないが・・・。
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