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ネコの運ぶ夢
第2章 寂しいネコ
通勤途上で考える。
一体、音子の正体はなんなんだろう?
昨夜、躊躇なく、俺の股に手を伸ばそうとしてきた。「そういうこと」に慣れているのだろうか?そうはいっても、あまり水商売系の感じもしない。
かといって、いきなり知らない男のうちに上がり込み、「いさせてくれ」だなんて、通常はありえない。「警察に言わないで欲しい」と言っていたのも気になる。

考えてもどうにも整合性のある答えは導けなかったので、結局考えるのをやめてしまった。

ただ、その日一日、俺はどうにも落ち着かず、部下の女性からも「どうしたんですか?」と聞かれてしまう始末だった。ミスこそしなかったが、大分ぼんやりとしていたようだ。

ふとした瞬間に音子のことを考えてしまう。
音子は美人だし、若いし、俺も男だ。同じ空間で、ああも無防備にされれば妙な気持ちになってしまうこともある。

据え膳喰わねばという言葉はあるが、この状況でそれを実行してしまうほど無鉄砲ではない。素性の知らない女性をどうこうするわけにもいかないだろう。

とにかく、面倒事はゴメンだ。
早く、決着をつけなければならない。
今夜こそ、音子をなんとか家から追い出そう、そう俺は決心した。
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