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トライ アゲイン
第5章 安祐美、二度目の高校生活

「梨田先生!酷いじゃないですか!
合格は間違いなしとおっしゃって下さいましたよね!」

職員室に由美子の金切り声が響き渡る。

たまにこういう保護者が乗り込んでくるんだよねと
他の教職員は冷ややかな目で由美子を横目で眺めた。

「お母さん!やめてよ!みっともない!」

安祐美は恥ずかしくて仕方ない。
試験の結果がさんざんだったのは自分自身が一番分かっていた。

「まあまあ…ここでは何ですから
別室に行きましょうか」

梨田は興奮している由美子の肩を抱いて進路指導室に母娘を連れていった。

「由美…あ、いや、お母さん、受験ではたまにこういうこともあるんです」

まあ、これを飲んで落ち着いてくださいと
梨田は二人にコーヒーを差し出した。

「だって…だって!あんまりじゃないですか!
私、あなたに協力したら安祐美を高校に入学させて貰えるとばかりに…」

興奮している由美子の事だ
体を提供した見返りに内申点を操作して貰う約束の事を口を滑らすかも知れない。
安祐美にそれがバレたらとんでもない鬼畜だと訴えられでもしたら後々の教員生活に支障が出る。

「だから…試験当日に体調が悪くて、いつもの実力が発揮できないのは良くあることなんですよ」

「そうよ、お母さん…私、あの日は絶不調だったの」

安祐美にそう言われては怒りの矛先を納めるしかなかった。

「ここは一つ、善後策を講じましょうか」

梨田は万が一の生徒のために
一枚の用紙を用意していた。

「○○高校では二次募集があるんです」

○○高校?
来たっ!!
これこそ安祐美が本来進むべき人生だったのだ。
これで軌道修正が出来ると
安祐美は○○高校の二次募集の試験を受けることにした。

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