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トライ アゲイン
第6章 陸上部の飛鳥先輩

高校に進学してから一週間が過ぎた。

「ねえねえ、安祐美はさあ、入部するクラブは決めた?」

昼食時間に机を並べて一緒にお弁当を食べている親友になった阿部真理亜が
卵焼きを咀嚼しながら尋ねてきた。

「う~ん…最初はさあ高校に入学してきた時は絶対にテニス部に入ろうって決めていたんだけど…よくよく考えたら、私って球技が苦手なのよね
だから走るだけの陸上部にしようかなあ~なんて思っているの」

「ほんと?陸上部にする?
やったぁ~!私もさあ陸上部に入部しようかなあ~なんて考えていたのよ
やっぱり私たち気が合うわよね」

気が合うも何も
安祐美にしてみれば、記憶の中で処女を捧げた飛鳥先輩を追い求めて
陸上部に入部するだけなのだが、
そういうことを話してみても信じてもらえないので安祐美は作り笑顔で誤魔化した。

放課後、入部届を手にして
校庭のグラウンドでアップを始めている陸上部の団体に歩みを進めた。

陸上部の面々が近づく安祐美と真理亜に気づいて視線を送ってくる。

「あれぇ?君、もしかしてテニス部に入りたがっていた子じゃん」

安祐美の事を覚えていてくれていたのか
飛鳥先輩はアップをしているグループから抜け出して
二人の元に駆けつけてくれた。

日焼けした顔の口元から覗く白い歯が眩しいほどだった。

「あの…顧問の先生は?」

「えっ?その手に持っているのはもしかして入部届?
そっかあ!陸上部を選んでくれたんだね
嬉しいよ、大歓迎するよ」

お~い、みんな!入部希望者だぞ!

飛鳥先輩は後ろを振り返って、
アップをしながらこちらを見ていた一団に大きな声をあげた。
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