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誰にも言えない!
第2章 初めての演習室



「…っわぁ」



初めての演習室を見て
思わず声が漏れる



先生用の机が向かい合うように二つ
水道も空調もある

小さな黒板、
狭い室内を覆うように
本棚にたくさんの資料や教材が並べられている


なんとなくアットホームな落ち着く雰囲気だ





「先生は何でここを使ってるんですか?」





「んー、僕は基本的に職員室に居るけど

数学の問題に取り掛かるときはここが集中できるから
先生方に言って使わせてもらってるよ」



確かにここなら集中して作業ができるかもしれない


学校の中でも1番端にある小さな部屋で
誰も立ち寄らないようなところだ




「秘密基地みたいですね」



なんとなくそんな感じがしたから
先生に笑いながらそう言った




「あはは、そうかもな」



先生も笑いながら言う





(初めてこんなに、
緒方先生とお話をした)




若い先生は苦手な方だったから
最初は抵抗があったけど
実際は優しいし話しやすい人だ



歳も近いし、兄が居ない私にとっては
お兄ちゃんが居たらこんな感じなのかな?と
思えるほど自然に話が出来た





「あ、それで、分からない問題っていうのは?」




ふと、一番大事な内容を忘れていた事に気づいて
私は先生に言われるまま教科書を開き
机に座る先生に近づく




「えっとですねえ、ここの…」




分からない問題に指を差しながら
問題文を読む先生を横目で見る




長い睫毛に切れ長で優しい目
中性的な綺麗さに目を奪われる




(こんなに、綺麗だったんだ…)




しばらくぼうっと眺めていると
ふと目線を上げた先生と目が合った




「…聞いてるか?」





「っあ!すみません!」




自分がしばらく先生に見とれていた事を自覚して
何だか恥かしくなってしまう
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