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彼女はボクに発情しない
第13章 組曲:夏の夜の願い ”異榻同夢”
『発情』のことが分かってから、人が大勢いるところは意識的に避けてきた。だから、こんな楽しい雰囲気は久しぶりだ。
陽太が横で「うわー」とか「すげー」と言っている。もしかしたら、本人は心のなかで言っているつもりなのかも知れないが、ダダ漏れだ。それがまた、陽太らしくて、可愛くて、本当に大好きだ。

並んで手を繋いで歩いている5歳位の女の子と男の子がいた。まるで、小さいときの私と陽太のようだと思った。りんご飴屋さんの前でじっとおじさんがりんご飴を作るところを見ている。ふふ・・・おいしいよね、りんご飴。私も大好きだよ。

陽太にも可愛いあの二人の子を見てほしくて、浴衣の裾を引っ張ってみる。でも、どうやら陽太は屋台の方に目が行ったらしく、私の方を向いて「食べたいの?」と尋ねてきた。

本当に陽太らしいと、心の中でほほえみながら、私はコクリと頷いた。
昔みたいに、私達も一緒に食べよう。

私が見ていた男の子と女の子も一本ずつ買ってもらっていた。顔の半分くらいもある大きさのりんご飴をなめなめ、とても満足そうだ。

陽太とこうしてりんご飴を食べるのは、本当に久しぶりだ。でも、相変わらず何を話していいのかわからない。

だんまりになってしまうのはあまり良くないのかも知れないが、私は結構これで満足だった。

「会場の皆様にお知らせします。あと10分でゆかたコンテストの登録を締め切りいたします。ご参加を予定されている方は、お早めに中央受付までお越しください」

そう言えばチラシにそんな事が書いてあった。陽太が出たら・・・どうなるんだろう?優勝しちゃったり?

「奏が出たら、きっと優勝だよね」
陽太が言うのでドキッとしてしまった。同じようなことを考えていたのかと思うとちょっと嬉しかった。

こういうところで人前に出る、なんてことは今までしようとしなかった。怖かったからだ。衆目の中、もし『発情』したらなどと考えてしまっていた。でも、今なら・・・。

「出て・・・みようかな・・・。陽太が一緒なら・・・」

陽太が一緒にいてくれるなら、大丈夫かもしれない。それに、私の好きな人はこんな素敵な人なんですよ〜と、みんなに見せびらかしたい気持ちが、ちょっと・・・ほんのちょっとだけどある。
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