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添花の愉悦
第2章 あとがき
「添花の愉悦」をお読みいただき、ありがとうございます。

私はよく、自分の作品が評価されなかったり、誰も読んでくれない気がして落ち込んだ時、ネット記事や書籍で「自分と他人を比べない」といった内容の文章を読んで自分を鼓舞します。

さらに、名探偵コナンの作者である青山剛昌先生が「他人と比べても仕方ない。昨日の自分を越えること」と話していたのを思い出し「昨日の自分より進歩していれば、それこそが最も着実な一歩なのだ」と言い聞かせます。

ただ、そうは分かっていても、どうしても、評価を受けたり注目を浴びている人たちが羨ましくて仕方ない。周囲に比べて自分はだめだ、と自信を失い、ついにはどうせ頑張っても無駄だ、とまで思ってしまうこともあります。


誰かをうらやんでしまうのは、人間の業なのだと思います。

人間は、理性を越えた、本能に近い部分で、他人をうらやんだりねたんだりするんです。多分。

そして、このねたみ、嫉妬が本能レベルの感情だとすれば、性欲とはなじみの良い情動なのではないか、と私は思うのです。不倫に燃えてしまうのも、嫉妬心が欲望のブースターとして機能するから。「奥さんよりも愛されたい」「彼女の旦那に負けたくない」といった嫉妬心や敵対心が、裏側から性欲を突き上げて煽るのです。

こんな発想から、この「添花の愉悦」のストーリーを作り上げた次第です。

どこにでも、掃いて捨てるほどあるライバル心、嫉妬心、相手を下げて自分のプライドを守る行為。そんなさもしいものたちに晒されても、確固たる悦びや自信があれば、どうってことはない。環さんにはそれを体現していただきました。

マウンティングや競争に嫌気がさすような毎日ですが、このお話を読んで、ちょっとした爽快感を得ていただければ、こんなに嬉しいことはありません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

NaNa 二〇二四年八月
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