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エリート妻色情飼育
第94章 第三章 眩暈
裕子入社3年目(特別秘書室) 
20●0年2月20日 AM 10:00

※※※※※※※※※※※※※※※

「そ、それで・・私は・・・?」
言葉を詰まらせる裕子に、安藤早苗はクスっと笑った。

「そんなに緊張しなくても・・・」
優しく言う女は裕子の卓越した美貌に圧倒されながらも、戸惑う素直な表情が気に入っていた。

幸造が連れてくる水商売上りの軽薄な女達には飽き飽きしていたのと、聡明な眼差しが昔の自分を思い出させてジンと胸に染みたからだ。

社長の幸造には、秘書の立場以上に深い尊敬と愛情を注いでいた。
給料等、無くてもいいと思ったほどだ。

自分の身体を捧げても奉仕したいほどの魅力ある男だと慕っていた。
だが、妻の不貞に裏切られた男はその復習の如く女を漁りはしたが、決して心は開かなかった。

早苗に対してもセクハラまがいに手を出しても良さそうなものだったが、その機会は訪れることはなかった。

幸造の秘書として二十年以上いたが、結局は息子の悟の母のような存在になっていた。

もう、潮時かもしれない。
金など。
必要以上のものは貰っている。

本当は少しでも長く幸造の傍にいたかったが。
敢えて、自分から退社を申し出た。
これ以上、老いた自分の姿を愛する男に晒したくなかったからだ。

「これが引き継ぎの書類・・そして・・・」
早苗は裕子に自分のノートパソコンを手渡した。

「パスワードは・・kouzou・・・」
ズシリとした手応えに裕子は声も出なかった。

「その後は、貴方が自由にしなさい・・・」
裕子の細い肩に手を置いて、耳元で囁いた。

「裏の帳簿も・・社長の性癖も・・・」
裕子の喉が微かに上下した。

「詳しくはマニュアルが・・・
トップページのフォルダにあるわ。
読んでごらんなさい・・・」

腕を組んで見守る早苗を背中に感じながら、裕子はノートパソコンを開いた。
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