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エリート妻色情飼育
第100章 第八章 予期せぬ温もり
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秘書室のロッカーで着替えを終えると、社長室のドアをノックした。

「おはいり・・・」
中に入ると、男はデスクで書類に目を通していた。

「では、お先に失礼します・・・」
「あっ・・ちょっと、待って・・・」

男の声にドキッとした。
まさかとは思うが、普段の行いから何かされるのではと無意識に身構えてしまうのである。

「ははは・・・」
裕子の気持ちが分かるのか、幸造は苦笑いしている。

スキンヘッドの頭をかきながら、照れくさそうに近づいてくる。

「これ・・な・・・」
内ポケットから包みを取り出すと裕子に手渡した。

「飲み屋の女に買うたもんで悪いけど・・・」
キョトンと見返す裕子の手に更に一万円札を重ねた。

「遅いから、タクシーで帰りぃ・・・」
そのままデスクに戻ると書類に没頭していく。

「あ、あの・・・」
返そうとしたが、男の無言の圧力に声が途切れた。

「失礼します・・・」
裕子がドアの向こうに消えても男は顔を上げなかった。

※※※※※※※※※※※※※※※

胸のざわめきが収まらないまま、裕子はタクシーに乗り、自宅の住所を告げた。

ふと、ポケットの中の包みに気づいた。
開けてみるとブランドロゴがついた箱が出てきた。
中身はプラチナ製のブレスレットウォッチだった。
一目で高価な品だと分かる。

多分、百万円以上はするだろう。
元々、セレブな裕子には分かった。

それにしても。
気軽にプレゼントする金額ではない。

もしかすると。
飲み屋の女へと言いながら、裕子のために用意されていたものかもしれない。

「そんなこと・・・」
小さく首を振って否定する。

それは自分の気持ちに対してもだった。

大嫌いだった男からのプレゼントを喜ぶなんて。
不条理すぎて笑ってしまう。

それでも。
包みを渡した時の男の温もりが手の中に残っていた。

裕子は無意識に窓に映る自分を見た。

その顔は。
穏やかな笑みを浮かべていたのだった。
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