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エリート妻色情飼育
第104章 第三部 想い 第十一章 退職の挨拶
そして早苗は「裏の秘書」の教官でもあった。

複雑な経費の処理やマネーロンダリングの手法等、丁寧に教えてもらった。
この一ヶ月余り、裕子は安藤早苗の指導の結果、全くの別人へと変身していったのである。

「社長、専務・・・」
早苗は悟ともハグを交わした後、改まるように言った。

「御指示の通り、伊藤裕子さんを教育しました」
裕子の肩がビクッと反応した。

教育というフレーズが別の意味にとれたからだ。
早苗にチラリと視線を送られると顔が赤くなりそうで、隠すように俯いた。

「彼女は優秀で教えたことは全て理解しました。
これで・・そう・・彼女は私の代わり・・・」

「裏の秘書・・やな・・・?」
幸造が言葉を繋ぐと目を合わせ、口元を綻ばせた。

(社長・・おネェ様・・・)
裕子は口に出せない呼び名を心の中で呟いた。

「伊藤さん、こちらへ・・・」
早苗が裕子の手をとって幸造と悟の前に立たせた。

「ちゃんと正式に辞令を出してください・・・
もう、私にばかり説明させて・・・
二人ともズルいんだから・・・」

恨めし気に見つめる早苗に、二人はバツの悪そうな顔をしている。

「すみません、早苗さん・・・」
悟が頭をかきながら謝った。

「そうですよ、悟ちゃん・・・」
二人の呼び方に裕子は目を丸くした。

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