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エリート妻色情飼育
第215章 第八章 リング
(だけど・・・)
やはり、寂しかった。

悟だけに愛される女になれたらと思ってしまう。
幸造のことは好きで、愛してもいる。

セックスも気持ち良い。

だけど、こうして悟に寄り添っていると安心するのだ。
心が溶けていきそうに思える。

今夜は裕子のマンションに泊まってくれるという。
だけど、明日の朝には男は「副社長」という別の顔で裕子の部屋を出て行くだろう。

「特別秘書」として仕事も共にできるから、別れる訳ではない。
それでも、こうして寄り添う「恋人の悟」は消えてしまうのだ。

無意識に男の腕を抱きしめる。
温もりが消えてしまわないように。

「裕子・・・」
女の俯く表情に熱い気持ちが湧きあがった。

そして、今夜のために用意していた言葉を呟いた。

「月が・・綺麗だなぁ・・・」
「えっ・・・?」

意外なセリフに裕子は顔を上げた。

「つ、月が・・ほら・・・」
「今日は曇りで、月なんか出ていないよ?」

噴水のライトアップが悟の顔を照らす。
薄っすらと汗が額に光っている。

「月が綺麗・・なんだよ・・・」
「ぷっ・・・」

意地になって繰り返す表情に、思わず噴き出した。

いつもクールな男が少年のように顔を赤らめている。
言葉の意味をようやく理解した裕子は優しく聞いた。
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