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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第5章 情欲に呑まれる
気まずそうに胡蝶は2人から顔を逸らした。

「…まぁ…お可哀想に…。」

音羽は本当に胡蝶に胸を痛めている様だ。

彼女の大きな目が悲しそうに動いて、口元を手で覆っていた。







「胡蝶はまだ男女の営みを知らないから…、その記憶が辛いモノになってしまわない内に、俺と音羽で何とかしてあげたいんだ。」

「…まぁ…私と玄武様であの子を可愛がってあげると言う事ですか?」

「?!」






音羽の言葉に、胡蝶は急にビクッと肩を跳ねさせた。

「俺はそでもいいけど…。」

チラッと胡蝶を見ると、顔を青くしながらブンブンと大きく首を横に振っていた。






その胡蝶を見て、玄武はクスッと笑った。

「まだ彼女はそこまで気持ちが無いらしい。」






胡蝶から音羽に視線を戻すと、玄武は音羽の帯紐を取った。

重たい帯はそれだけで、重量に負けた様にゆるりと床に落ちていく。

玄武は落ちた帯を気にしないで、どんどん音羽の服を脱がせていく。






確かに自分がお願いした事だったが。

服を脱がされて肌が出てきても、臆す事なく玄武にキスをする音羽に、胡蝶はゴクッと息を呑んだ。






男の人が女人の服を脱がせているのは、あの夜と変わらないのに。

目に映る光景は全然違うモノの様に見えた。






あの日は2人の呼吸さえ、聞こえれば不快だったのに。

今はキスの間に漏れる声も、水っぽい音さえも、耳に響いて胡蝶の体を熱くする様だった。





音羽の綺麗な乳房が現れた時に、玄武の手が胸を持ち上げる様に掴んだ。

「……男の人の体に触れた事は?」

玄武の手を一度止めて、音羽は胡蝶に聞いた。







「……っありません。」

急に話を振られて、胡蝶の声は上擦っていた。


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