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天狐あやかし秘譚
第116章 疑心暗鬼(ぎしんあんき)
☆☆☆
オキナの待つ部屋の襖が音もなく開く。その向こうの間にカタカタと震えながらひとりの女性が額づいていた。身体は上質な布で設えられた夜具を身につけていた。
彼女は地下の囚われ人だった。緋紅や神宝使いの供物としてストックされている女性のひとりであり名を沙織と言った。つい30分ほど前に、オキナ自身が自ら地下牢に赴き、選んだ女である。
「・・・オキナ様・・・沙織と申します」
屋敷の従者に教えられたとおりに沙織は名を名乗った。彼女は、自身の身にこれから何が起こるかは知らされていない。よく見ると、畳についた手はカタカタと小刻みに震えていた。
その様子を部屋の奥であぐらをかいたまま見ていたオキナの目がキランと光る。
「あ!?来たね・・・
よろしくね、ボク、オキナって呼ばれているけど、うーん・・・あんまりこの呼び名好きじゃないんだよね。なんて呼んでもらおっかなあ?」
うーんと顎に手を当てて彼女は考える様子を見せる。
「ねえ!沙織ちゃん!!」
突然フランクに名を呼ばれて、沙織の肩がぴくんと震えた。そのまま無言で顔を伏せ続ける。心臓が死ぬほどバクバクと鼓動していた。
「な、何でございましょうか」
下手な回答をすれば、速攻で殺されるかもしれない。そんな思いだった。
「沙織ちゃんはさ、S?それともM?」
一瞬、意味がわからなかった。
ちょっと考えて、それが性癖を現す『サド』か『マゾ』かということに思い至る。
えっ?そんなの・・・なんて答えればいいの?
以前、脱獄しようとした女性が、その同じ牢に入っている人もろともに目の前でひどい犯され方をしたのを目にしていた。ここではそういうことが日常茶飯時だと思い知らされた出来事だった。そして、ここにくるまでに、自分の身体は丁寧に洗われ、爪や髪も整えられている。
犯される・・・その準備であることは明白だった。
相手が女性だとしても安心はできなかった。
その状況での、この質問である。
なんて答えるのが正解なんだろう。沙織は頭をフル回転で巡らせる。普通に考えれば、『M』と答えたらひどいサディスティックな扱いを受けそうな気がする。
じゃあ、『S』と答えるべきか?
夜具の下の腋に汗が流れるの感じた。
オキナの待つ部屋の襖が音もなく開く。その向こうの間にカタカタと震えながらひとりの女性が額づいていた。身体は上質な布で設えられた夜具を身につけていた。
彼女は地下の囚われ人だった。緋紅や神宝使いの供物としてストックされている女性のひとりであり名を沙織と言った。つい30分ほど前に、オキナ自身が自ら地下牢に赴き、選んだ女である。
「・・・オキナ様・・・沙織と申します」
屋敷の従者に教えられたとおりに沙織は名を名乗った。彼女は、自身の身にこれから何が起こるかは知らされていない。よく見ると、畳についた手はカタカタと小刻みに震えていた。
その様子を部屋の奥であぐらをかいたまま見ていたオキナの目がキランと光る。
「あ!?来たね・・・
よろしくね、ボク、オキナって呼ばれているけど、うーん・・・あんまりこの呼び名好きじゃないんだよね。なんて呼んでもらおっかなあ?」
うーんと顎に手を当てて彼女は考える様子を見せる。
「ねえ!沙織ちゃん!!」
突然フランクに名を呼ばれて、沙織の肩がぴくんと震えた。そのまま無言で顔を伏せ続ける。心臓が死ぬほどバクバクと鼓動していた。
「な、何でございましょうか」
下手な回答をすれば、速攻で殺されるかもしれない。そんな思いだった。
「沙織ちゃんはさ、S?それともM?」
一瞬、意味がわからなかった。
ちょっと考えて、それが性癖を現す『サド』か『マゾ』かということに思い至る。
えっ?そんなの・・・なんて答えればいいの?
以前、脱獄しようとした女性が、その同じ牢に入っている人もろともに目の前でひどい犯され方をしたのを目にしていた。ここではそういうことが日常茶飯時だと思い知らされた出来事だった。そして、ここにくるまでに、自分の身体は丁寧に洗われ、爪や髪も整えられている。
犯される・・・その準備であることは明白だった。
相手が女性だとしても安心はできなかった。
その状況での、この質問である。
なんて答えるのが正解なんだろう。沙織は頭をフル回転で巡らせる。普通に考えれば、『M』と答えたらひどいサディスティックな扱いを受けそうな気がする。
じゃあ、『S』と答えるべきか?
夜具の下の腋に汗が流れるの感じた。

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