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天狐あやかし秘譚
第117章 献身奉仕(けんしんほうし)
でも、それ以上に、この追い詰められた状況を、自分がなんとかしないといけないという気持ちが強かったのだ。
父の『知人』も言ってたではないか。
『未来がわかれば・・・選挙に勝てる』と。
だからそう。一度だけだ。
過ぎた力なのはわかる。でも、一度だけ。
私が見た未来を、さり気なく父に教えればいい。
そうしたらみんなうまくいく。
父も、母も、ジジも、ババも・・・水有も、みんなの不安がなくなる。
それに、そもそも未来が見えるなんて眉唾だ。
覗いてみたら、意外とただの鏡だった、単なる言い伝えだった、で終わるかもしれないじゃない・・・そんなふうにも思った。
「開ける・・・ね」
誰にともなく私は言う。そして、組み紐に手をかけた。
するするとあっけなく紐は解かれ、箱を開くことができた。中には高そうな絹の布に包まれた円形のものが入っていた。隙間から覗いている色は『白』だ。
どうやら、上に乗っている箱の中身が、お目当ての『白い鏡』のようだった。
布を開いていく。よく社会の教科書に載っているような古代の鏡のように見えた。ホンモノを見たことがないのでなんとも言えないが、すごく古そうなものであるのは間違いなかった。
え・・・?
目の錯覚でなければ、その縁が薄青の光を放っているように見える。いや、違う。縁が光ってるのではなく、鏡面が光っていて、伏せてあることからその光が縁から漏れ出ているんだとわかった。
嘘・・・これ、本物・・・?
胸がギュッと縮こまるほど緊張していた。自然と足が震えだし、何度も何度も唾液を飲み込む。目の前にあるものが、本当に不思議な力を持っている鏡だと分かったからだ。
「な、なにか・・・呪文のようなものが必要なのかな?」
ババは『先見の儀』と言っていた。なにか特殊な儀式が必要なのだろうかと思ったのだ。でも、そんなふうに考えている頭とは裏腹に、手は勝手に鏡に向かって伸びていった。
そして私は、夢遊病にでもかかったかのようにその鏡を取り上げていたのだ。
ー何が見たい?
手に触れた鏡から問いかけられているように思った。一瞬ぞわっと背筋が粟立ち、頭では鏡を投げ捨てなければと思ったが、手が全く言うことを聞かなかった。
父の『知人』も言ってたではないか。
『未来がわかれば・・・選挙に勝てる』と。
だからそう。一度だけだ。
過ぎた力なのはわかる。でも、一度だけ。
私が見た未来を、さり気なく父に教えればいい。
そうしたらみんなうまくいく。
父も、母も、ジジも、ババも・・・水有も、みんなの不安がなくなる。
それに、そもそも未来が見えるなんて眉唾だ。
覗いてみたら、意外とただの鏡だった、単なる言い伝えだった、で終わるかもしれないじゃない・・・そんなふうにも思った。
「開ける・・・ね」
誰にともなく私は言う。そして、組み紐に手をかけた。
するするとあっけなく紐は解かれ、箱を開くことができた。中には高そうな絹の布に包まれた円形のものが入っていた。隙間から覗いている色は『白』だ。
どうやら、上に乗っている箱の中身が、お目当ての『白い鏡』のようだった。
布を開いていく。よく社会の教科書に載っているような古代の鏡のように見えた。ホンモノを見たことがないのでなんとも言えないが、すごく古そうなものであるのは間違いなかった。
え・・・?
目の錯覚でなければ、その縁が薄青の光を放っているように見える。いや、違う。縁が光ってるのではなく、鏡面が光っていて、伏せてあることからその光が縁から漏れ出ているんだとわかった。
嘘・・・これ、本物・・・?
胸がギュッと縮こまるほど緊張していた。自然と足が震えだし、何度も何度も唾液を飲み込む。目の前にあるものが、本当に不思議な力を持っている鏡だと分かったからだ。
「な、なにか・・・呪文のようなものが必要なのかな?」
ババは『先見の儀』と言っていた。なにか特殊な儀式が必要なのだろうかと思ったのだ。でも、そんなふうに考えている頭とは裏腹に、手は勝手に鏡に向かって伸びていった。
そして私は、夢遊病にでもかかったかのようにその鏡を取り上げていたのだ。
ー何が見たい?
手に触れた鏡から問いかけられているように思った。一瞬ぞわっと背筋が粟立ち、頭では鏡を投げ捨てなければと思ったが、手が全く言うことを聞かなかった。

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