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罪女磔刑
第3章   罪人 長澤 慶子  
受信
From 慶子
2024-12-07 05:26
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大学のサークルの人は、空手部の後輩の人でした。
私は1年生の時に先輩のマネージャーに誘われて、空手部のマネージャーになりました。

私が2年生の時にその後輩の彼が入部して来ました。
私が4年生になり、4年生は皆引退しました。
3年生の新しいキャプテンになったのがその彼でした。
私も引退していたのですが、時々マネージャーとして練習の手伝いに行きました。

空手部はOBが練習を見に来る事がたまにありました。
OBは体格の大きい人が多く、また少し柄の悪い人も多くいました。
そんなOB相手に練習で戦う事は、大学生にとっては厳しい事でした。
OBの練習は情けが無い物だったのです。

練習と呼ぶには厳しすぎる試合形式の練習の事を「かわいがり」と言っていました。
部員の殆どはOBのかわいがりで体を痛めてしまいます。

でもキャプテンの彼だけは最後まで戦っていました。
2~3人のOBを彼一人で最後まで相手をしているのでした。

怪我を負った時も、彼はやめませんでした。
怪我を負っても、彼は表情を変えないのです。
練習を終えてOBを送り出し、部員が皆帰るまで、彼はいつも表情を変えませんでした。

一度、彼の手がとても酷い状態だったので、練習後に彼を病院へ乗せて行った事がありました。
病院の待合室で待っている時、私は彼の事が心配でした。
彼の体の事も心配でしたし、OBのかわいがりを一人で相手し続ける彼が心配でした。
彼のキャプテンとしての責任感が、私は逆に心配でした。

治療を終えて出てきた彼は、手に厚く包帯を巻いていました。
彼は指が折れていました。
私は包帯を巻いた彼を見て涙が出ました。

それなのに彼は次の日、包帯を外して練習に来ました。
怪我などしていないかの様に、いつもの様に練習の指揮を取っていました。
彼は指を骨折しているのに、その彼に勝てる部員は誰もいませんでした。
それほど彼は強くて、空手部の現役としての責任を彼一人で背負っているようでした。
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