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ザ・レイプ 犯された婦人警官
第1章 レイプされた婦人警官
 日穂国彩珠県警河口警察署外勤課本兆交番。7月26日。午前8時37分。

 淡いスカイブルーのV字襟半袖制服姿の伊藤智子巡査が交番に入ってくる。肩まで垂らしたポニーテールの黒髪の前髪が冷房の強い風に吹かれて、少し揺れている。
 左肩に掛けていた白色のショルダーバッグを壁に掛けるのを見ながら、机の向こうで新聞を読んでいた岡村巡査部長と、隣の机で書類を整理していた佐藤巡査の会話が聞こえてきた。

「なぁ、佐藤。昨日も婦警の痴漢撮影事件があったな」

 岡村は、わざと智子に聞こえるように声を上げる。

「ああ、また例の完也たちの中学生グループの仕業ですね。浪生町交番の婦警がパトロール中に背後から抱きつかれて胸を揉まれた挙句に、スマホで撮影されたって言うんだから、どうしようもないですよ」

「で、その婦警は何してた?。犯人のガキを捕まえたのか?」

「ただ悲鳴をあげて、怯えてたそうです」

 岡村は鼻で笑う。

「情けねぇな。あの鈴木っ完也って餓鬼、何度目だよ。前にも婦警に痴漢して俺らに補導されてるのに、また同じことしやがる」

「だって、補導されるだけですからね。口頭で厳重注意を受けるだけ。補導されたって、奴ら不良たちにしたら痛くも痒くも無いです」

 智子は黙って自分の机に向かう。しかし、二人の会話は更に続く。

「つーか、あの制服着てりゃ、それだけで目立つよな。誘ってるようなもんだ」

 交番所長の岡村は、 20歳の若い婦人警官の膝上7、8センチのスカートの裾から伸びるほっそりとしながらも適度に筋肉のついた妖艶な脚のラインを見つめた。
 その言葉に呼応するように岡村は、婦人警官のV字襟に露わにされた滑らかな素肌に冷酷な視線を送る。

「ほんと、そうですよ。警察のマスコット用に婦警なんか採用してるから...」

 佐藤巡査の言葉に、智子は机の上の書類に目を落としたまま、わずかに唇を噛んだ。婦人警官という言葉が、まるで蔑称のように響く。

「智子ちゃん」

 岡村の声に、智子は顔を上げる。

「今日も小林と一緒にパトロールな。まぁ、小林には気の毒だが」

 また始まった─。智子は心の中で嘆息する。小林浩一巡査は、同じ高校の二年上で、同じバドミントン部。密かに憧れていた先輩だった。そして婦人警官に理解のある数少ない男性警官の一人だ。
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