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第8章 綾乃と綾

「　許してもらいたいの・・・」

和彦の怒りの籠った視線に、俯き早紀は呟く様に言い
布団の上に早紀の涙の染みが広がって行く

「　俺たち、元のように戻れると思うのか？　」

「　戻りたいの・・・　」

俯いたまま早紀が言った　
和彦は早紀の目の中を見た時
早紀の心の中を、理解していた

・・・　子供の為　・・・・

必死に許しを請う早紀、自分を捨てて子供を守るため
演技でもよい、和彦と生活する事で、二人の将来が
守れるのなら、女を捨てて、母親として子供を守る

涙を流し和彦を見る瞳の奥の覚悟、
和彦は早紀が　見つめて来た
瞳の奥の心を、感じ取った

ーーー　子供の為か・・・・　ーーー

心の中に沸き上がった言葉を飲み込み　和彦は
黙って横に成り、自分の寝ている夏掛けを捲った

小柄な早紀が、和彦の腕の下に潜り込み
夏掛けの中に　早紀の使うシャンプーの香りが
和彦は早紀の頭を腕に乗せ　リモコンを使って
部屋の明かりを落とし　深い溜息を吐き出した

「　ゴメンナサイ　」