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心の中のガラスは砕けて散った
第9章 8月
モーターが回り始め 画面に40代の主婦の姿が

何処かの公園 昼の光りに池の周りの柵が映り
嬉しそうに綾乃に視線を送って来る

・・・何を映しているの?・・・
・・・二人の記念 ・・・・
・・・ヤダーーー ・・・・

嬉しそうな声 綾乃に愛しさを嬉しさを
浮かべた視線を送って来る 

先程の夫人が部屋の中央に立ち 
不安そうな表情の中 淫靡な視線が送られ
画面が近寄り 夫人の目の中の光りが 
目まぐるしく変わる

・・・怯えが・・・
・・・期待が・・・
・・・淫靡な光が・・・

「 此処までを 見て貰いたい、」

沢入がスイッチを止め、部屋の中央に立ち
淫靡な光を浮かべた視線を綾乃に送って来る
夫人の姿を見乍ら 綾乃に言う

「 この ご婦人の気持ちをなぞれる様に
  考えて、見て欲しい、良いかね? 」

綾乃は頷いて、沢入からリモコンを受け取り
巻き戻したビデオの再生ボタンを押した
最初の画面が、夫人の愛おしそうな眼差しが
綾乃を見つめて来る 画面の中の夫人の瞳を
眺め、綾乃は沢入の言葉を思い出す

・・ 奥さんはホストに夢中に成って 離婚された ・・



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