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第9章 ８月

「　昨日　小沢君の笑顔を　？　」

沢入は綾乃の目に　強い視線を送って来た

「　最初、私が首を振った後　小沢君暫く考えて
　　その後笑顔を出して来て、私は頷いて見せた　」

「　あそこに居た若者たちが、小沢君の表情に
　　驚いていたでしょう　」

頷く綾乃、

「　以前　小沢さんも同じように　ビデオを撮って
　　表情の訓練をさせた時、笑顔を出せと言ってね
　　一生懸命笑顔を出して、私が何度もダメを言って
　　思い出させたんだ、彼女の記憶の中で　
　　一番嬉しかった記憶は　小学校6年生の時と
　　遥さんが言って　その頃　女の娘の間で
　　人気だったお人形を、父親がお土産で
　　持って来て呉れた事が、父親は余り
　　家に居ない人で、その父親が遥さんに
　　お人形をお土産と渡して呉れて、二重の喜びだと
　　彼女は思い出す様に言ってね、そこから私は
　　ゆっくりと彼女を小学校６年生の頃の記憶を
　　お土産を受け取った処を思い出させて、
　　遥さん、思い出した時、満面の笑みを浮かべた表情を、
　　私が出来るだろうと、後からビデオの中　笑みを浮かべる
　　遥さんを見せて、彼女は何度もその頃の記憶を、
　　思い出して、自然と笑顔を見せられるように成った、　」

「　昨日四人の子達が　項垂れて出て行っただろう
　　彼らは今撮影中の映画の主役達で、監督から
　　頼まれて、演技指導して居た処だったから
　　良い刺激に成ったと思う、　」