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第9章 ８月

監督は映画の中の、彼女が必死に
働くシーンから始める積りだったそうだ、
オーデションに応募してきた女優達に　冒頭の台本を
渡して、ストーリーを説明し同じセリフ、同じ演技を求め
オーディションは始まり、彼女が監督の前に立って
演技を見て、監督の心は決まって居たそうだ

「　何故だと思う？　」

沢入は綾乃に問いかけ、綾乃は首を傾け、首を振った

「　彼女は、彼と別れ　失意の中、事務所にマネージャーに
　　言われ、オーディションを受けに来て、失意の目の中
　　主役を取りたいと言う、相反する気持ちが演技する
　　彼女の目の中に浮かんだ光を、監督は見て決めたんだと
　　思う、

　　映画の中の主人公は離婚して自分が作った
　　借金を返す為、自分に課した贖罪の為　
　　離婚して小さなアパートで暮らし　朝、昼、晩、
　　借金を返す為　働き続ける生活、働く仲間から
　　蔑まれても耐えて、只働き続ける

　　諦めと目標その二つの相反する視線　目の光
　　監督は彼女の瞳の中を見て、決めたと思う
　　彼女はあの映画で、幾つものトロフィーを手に入れ
　　日本を代表する、女優さんに成った、脚本？監督？演出？
　　どれも大切だが、

　　彼女は監督に頼んで、最初は子育ての
　　シーンから撮影を始めたと聞いた、

　　理由？　台本を読んだ　彼女は後半の部分を
　　自分成りに考えて頼んだと言ったよ