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心の中のガラスは砕けて散った
第9章 8月
綾乃の体が前のめりに、沢入の言葉を真剣に聞いて行く

「 彼女は 暫く考えて、私の目を見て 」

「 うん!! 元気で!! 」

「 そう言って私の目を、見て来た そこには
  愛しているけど、別れなければ成らない
  諦めと切なさが、そして深い愛が浮かんでいたよ 」

「 後で聞いた話しでは、そのシーンは一度で 撮れたと
  あの映画で、観客の涙を引き出したのも 彼女の
  瞳の中の演技が全てを 決めたと今でも思う 」

話し終えた沢入は、テーブルの上のカップに手を伸ばし
顔を上げ、綾乃に視線を合わせ、

「 来週の月曜から、撮影を始めると 譲から頼まれた 」

「 撮影!?・・・ですか !? 」

カップを傾けていた沢入が、頷き

「 聞いていないのか!? 」

驚いた様に 綾乃の顔を覗き込んで来る
綾乃が頷くと、立ち上がり

「 部屋へ!! 」
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