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こんなに晴れた素敵な日には先輩の首を絞めたい
第4章 第3話 かわいい後輩
「……もしもし、賢人? ごめんこんな時間に。来週の金曜だけど、他の研修医と当直を交代したからデート行けなくなっちゃった。また来週にしてもいい? ……ありがとう、都合がいい日が分かったら教えて。それじゃ」
病院公式のウェブサイトで閲覧できる自分の勤怠表を見て10月に貰えるお給料の手取りが30万円を切ると分かった瞬間に、私は学生時代以来にマッチングアプリを起動した。
このマッチングアプリは数ある同類のアプリの中でもパパ活を含めた援助交際に適しているとされていて、私は学生時代にこれで何度もお金のピンチを乗り切ってきた。
湖南医科大学は国立だから学費は安かったけど、私は入学する前から学費以外は全部自分のアルバイトで賄うと母に宣言していた。
私が医学部医学科に現役合格できて狂喜乱舞する母はそんなこと言わなくてもと止めたけど、私はできる限りあの母から恩を着せられたくなかった。
私がこの世に生まれた事情から親戚中と疎遠になっている母には困った時に助けてくれる親族はいないし、将来老人ホームに入る費用を出してと言われたとしても私は断るつもりだった。
低学年の頃は家庭教師のアルバイトで自分の生活費もお小遣いも賄えていたけど、病院実習が始まるとそうもいかなくなった。
予告なしに手術見学で19時過ぎまで残らされたりする状況で、しかも進級試験の勉強もあるのに毎週決まった曜日に家庭教師のアルバイトをすることはできない。
私はいつしか母にも賢人にも隠れてパパ活のアルバイトをするようになって、それで国試予備校の映像授業代も国試当日のホテル宿泊代も支払えた。
現代日本の研修医は公的にアルバイトが禁止されているから、パパ活は今の私ができるほぼ唯一の副業だった。
これで少しは貯金ができるし、賢人とのデートで食事代やホテル代を気にする必要もなくなる。
いつか一人前の医者になって高い年収を貰えるようになったら大学時代の学費は全額を母に一括返金して、それで母と縁を切るつもりだった。
大学卒業を前にして母が脳梗塞で倒れたのは誤算だったけど、障害者になった母ともできる限り疎遠でいられるように私は必死でお金を稼ぐことに決めた。
病院公式のウェブサイトで閲覧できる自分の勤怠表を見て10月に貰えるお給料の手取りが30万円を切ると分かった瞬間に、私は学生時代以来にマッチングアプリを起動した。
このマッチングアプリは数ある同類のアプリの中でもパパ活を含めた援助交際に適しているとされていて、私は学生時代にこれで何度もお金のピンチを乗り切ってきた。
湖南医科大学は国立だから学費は安かったけど、私は入学する前から学費以外は全部自分のアルバイトで賄うと母に宣言していた。
私が医学部医学科に現役合格できて狂喜乱舞する母はそんなこと言わなくてもと止めたけど、私はできる限りあの母から恩を着せられたくなかった。
私がこの世に生まれた事情から親戚中と疎遠になっている母には困った時に助けてくれる親族はいないし、将来老人ホームに入る費用を出してと言われたとしても私は断るつもりだった。
低学年の頃は家庭教師のアルバイトで自分の生活費もお小遣いも賄えていたけど、病院実習が始まるとそうもいかなくなった。
予告なしに手術見学で19時過ぎまで残らされたりする状況で、しかも進級試験の勉強もあるのに毎週決まった曜日に家庭教師のアルバイトをすることはできない。
私はいつしか母にも賢人にも隠れてパパ活のアルバイトをするようになって、それで国試予備校の映像授業代も国試当日のホテル宿泊代も支払えた。
現代日本の研修医は公的にアルバイトが禁止されているから、パパ活は今の私ができるほぼ唯一の副業だった。
これで少しは貯金ができるし、賢人とのデートで食事代やホテル代を気にする必要もなくなる。
いつか一人前の医者になって高い年収を貰えるようになったら大学時代の学費は全額を母に一括返金して、それで母と縁を切るつもりだった。
大学卒業を前にして母が脳梗塞で倒れたのは誤算だったけど、障害者になった母ともできる限り疎遠でいられるように私は必死でお金を稼ぐことに決めた。