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こんなに晴れた素敵な日には先輩の首を絞めたい
第2章 第1話 普通の人々
「なるほどねー。女の子だけどちゃんと臨床の第一線でバリバリやりたいっていう希望はいいと思います。見学には来てくれたかな?」
「ええ、実習スケジュールの関係で一度だけになってしまいましたが救急医療部を見学させて頂きました。貴院の救急体制について松山先生がご親切に教えてくださってとても勉強になりました」
「うんうん、ちゃんと指導医の名前も覚えてくれてて嬉しいです。部活の実績とかも聞いていいかな?」

 この病院は筆記試験の点数よりも医学生個人のキャラクターを重視すると聞いていたので、私はこういう質問にもちゃんと答えを用意していた。

 そのまま向かって右側に座っている面接官と和気あいあいと会話が進み、体感で8分ほどが経過した所で先ほどまでほとんど話していなかったもう一人の面接官は私のエントリーシートに視線を落とした。


「色々とお話頂いてありがとうございます。そういえば……日比谷さんは湖南医科大学の6回生だよね」
「? ええ、そうですが……」

 私が少し不思議に思って答えた瞬間、向かって左側に座っている面接官は頭を傾けて腕組みをした。


「あのさあ……例の3人って学年内でどんな感じだったの?」
「えっ?」
「ほら知ってるでしょ、阿部君と細川君と鳥羽君だったかな。普段からちょっと変だった感じ?」
「……」

 面接官が口にした3人の名前は、今年の私にとって最も思い出したくない3人の名前だった。
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