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コンビニバイトの男の子
第4章 食事会

離れようと動き掛けた時に掴まれていた手を引かれ、顔から悠希の胸に倒れ込みます。悠希が両手で肩を掴み、抱き止めます。そのまま抱き寄せられると思った萩子は、開放された手を悠希の胸の前に押し込んで、かろうじて密着しないように隙間を作りました。もたれ掛からないように力を入れます。
「萩子さん、ごめんなさい。こんな事するつもりは全然なかったんです。でも、話を聴いてもらっているうちに、抱きたい気持ちが抑えられなくて」
そう言いながらも、悠希は肩に触れた手の力をそれ以上強くはしてきません。萩子は少し安堵しました。
胸に当てた手から、悠希の鼓動が伝わってきます。
とくんっ、とくんっ、とくんっ・・・。
それは、萩子の予想と違って優しいリズムでした。
(悠希くん、落ち着いてるんだ・・・)
強引にしてくることは無さそうと感じ、萩子も落ち着いてきます。
「駄目、ですか?」
頭上で、悠希の声がしました。一時の興奮が収まったからか、最初の途切れがちな話し方に戻っています。
(駄目に決まってる・・・のに)
萩子は、悠希の問い掛けの意味を十分理解していながら、即答できませんでした。
雑誌を読んだ日から、性的なことに対して疎かった萩子の考え方は大きく変わりました。
元々、その女性誌を恥ずかしさを堪えてまで購入したのは、貴之とのセックスレス解消に役立つ情報を期待してでした。
ところが、頼りにしていた“夜の誘い方”の記事は、今まで自分から誘ったことの無い萩子にはハードルが高い内容ばかりでした。唯一できた、”もう寝てしまうの?”という問い掛けも、貴之がセックスの誘いだと気づくことは無く、初めての誘いは空振りに終わりました。
その後、何度かベッドに横になる貴之に誘いの声を掛けようとはしましたが、その度に最初の空振りに終わったときの、恥ずかしさと虚しさの混ざった複雑な感情を思い出し、誘うことを躊躇って後ろ姿を見つめることしかできませんでした。そのうちに、誘えないことを誘わない言い訳で誤魔化すようになってしまい、セックスレスは解消できないままです。
「萩子さん、ごめんなさい。こんな事するつもりは全然なかったんです。でも、話を聴いてもらっているうちに、抱きたい気持ちが抑えられなくて」
そう言いながらも、悠希は肩に触れた手の力をそれ以上強くはしてきません。萩子は少し安堵しました。
胸に当てた手から、悠希の鼓動が伝わってきます。
とくんっ、とくんっ、とくんっ・・・。
それは、萩子の予想と違って優しいリズムでした。
(悠希くん、落ち着いてるんだ・・・)
強引にしてくることは無さそうと感じ、萩子も落ち着いてきます。
「駄目、ですか?」
頭上で、悠希の声がしました。一時の興奮が収まったからか、最初の途切れがちな話し方に戻っています。
(駄目に決まってる・・・のに)
萩子は、悠希の問い掛けの意味を十分理解していながら、即答できませんでした。
雑誌を読んだ日から、性的なことに対して疎かった萩子の考え方は大きく変わりました。
元々、その女性誌を恥ずかしさを堪えてまで購入したのは、貴之とのセックスレス解消に役立つ情報を期待してでした。
ところが、頼りにしていた“夜の誘い方”の記事は、今まで自分から誘ったことの無い萩子にはハードルが高い内容ばかりでした。唯一できた、”もう寝てしまうの?”という問い掛けも、貴之がセックスの誘いだと気づくことは無く、初めての誘いは空振りに終わりました。
その後、何度かベッドに横になる貴之に誘いの声を掛けようとはしましたが、その度に最初の空振りに終わったときの、恥ずかしさと虚しさの混ざった複雑な感情を思い出し、誘うことを躊躇って後ろ姿を見つめることしかできませんでした。そのうちに、誘えないことを誘わない言い訳で誤魔化すようになってしまい、セックスレスは解消できないままです。

