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夜に咲く名前のない恋人達
第12章 麗香の出した条件
ぷりんは布団からゆっくり顔を出し、枕元に置いたメモを見つめた。

『11月30日、閉店の1時間前。VIPルームで司が待ってる。
司からあなたの写真が送られてきたタイミングで、私からルカチームが負けないような大金を積んであげる。
条件を飲むかどうかは、当日まで考えていい』

──11月30日。あと5日。

手が震えた。

麗香は、本気だ。
彼女が本気を出せば、一夜にして何百万、何千万が動く。
ルカを救うには、これしかない。

でも……

そんなの無理だよ……

麗香の、愉しげな声が頭をよぎる。

『汚されるのよ。ルカに愛される資格がないと思えるくらい、司に』

ぷりんはギュッと布団を握った。

司がどんなふうに弄ぶのかは、簡単に想像できる。

でもこのままだとルカくんが……

消されてしまう……

頭の中で、天秤が揺れる。

「くっ……」

ぷりんはメモを握りしめたまま、ゆっくりと起き上がった。

寝れば襲われる夢を見る。

起きていれば、現実が突きつけられる。

どちらも苦しい。

「どうすれば……いいの……?」

薄暗い部屋の中で、ぷりんは選ばなければならない未来を思って震えていた。

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