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感情の欠片
第3章 社会人として
3ヶ月が経った。
テレビやネット動画でカズミを見かけることが増えた。
元々可愛くて、表情がくるくると変わる天真爛漫なカズミ。
最近は色気も加わっているのだから、きっかけさえあればよかっただけなのかもしれない。
売れるにはそれだけでは足りないのだろうが、よくわからないし、私が考えることでもない。

私の方は相変わらず、現状維持だ。
カズミから解放されたこともあり、たまには別人になってみようかと思った。
今日はパステルピンクのオフショルニットに、クリームホワイトのミニスカート。
モテファッションに身を包んだ。
メイクで雰囲気を変えるのにも慣れてきた。
友達と待ち合わせ、という設定で、ナンパされるのを待つことにした。

すると、声をかけてきたのは、まさかの主任だった。
確か30歳くらいで、奥さんもいるはずだ。
私の正体には気づいていないだろう。
「一緒に食事行きませんか?」
ナンパとは思えない、真面目な声かけだった。

一旦断るふりをするのもためらってしまう。
「いいですよ。暇だし」
結局、設定を捨てて主任について行くことにした。
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