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夜をほどく
第15章 告解の夜
「ねえ……あの噂、本当なの?」

社内の空気が、確実に変わっていた。
光貴と紗江の距離に、誰かが気づいていた。
小さな視線、囁き、気配。
すべてが、首筋にまとわりつく。

ある夜、紗江はとうとう彼を呼び出した。
都心の小さなビジネスホテル。
チェックインのときから彼は無言だった。

部屋に入っても、光貴はコートを脱がないまま、ただ壁に背を預けていた。

「どうして、連絡くれなかったの」

問い詰めるつもりはなかった。
でも声は、滲んでいた。
涙も、少し。

「……巻き込みたくなかった」

彼は言った。
いつになく静かで、少しだけ震えていた。

「じゃあ、あの夜は……全部、嘘だったの?」

そう訊いた瞬間、彼が歩み寄ってきた。
そして、そっと顔を寄せて、紗江の頬に唇を当てた。

「……嘘だったら、こんなに苦しくない」

たったひと言が、心の奥を貫いた。
胸元に縋りついた彼女を、光貴は強く、強く抱きしめた。

「……君を欲しいと思った。身体も、心も全部。だけど、俺には、まだ……」

言い終える前に、紗江は彼の唇を塞いだ。
そのキスは、まるで告白のように深く、長く続いた。

コートが床に滑り落ちる。
ふたりは、重なるようにベッドへと倒れ込んだ。

「もう……誰のものでもないような顔、しないで……」

「君が……そうさせるんだ」

シャツのボタンをひとつずつ外しながら、彼の手が、彼女の肌をなぞる。
目を逸らさず、彼はじっと見つめていた。
その瞳の奥にあったのは、もう迷いではなかった。

「……全部、俺に預けて」

「……うん。壊れるまで、抱いて……」

ふたりは、言葉もなく求め合った。
汗と涙と、抑えきれない欲望。
心と身体が絡み合いながら、ただひたすらに熱を重ねていく。

「……愛してる。紗江」

「わたしも……光貴さん、しか、もう見えないの……」

夜が更けても、ふたりは何度も重なり、確かめ合った。
あの日の罪と、いまの真実を。
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