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夜をほどく
第17章 夜明けに、もう一度
離婚届を提出した日、雨が降っていた。
しとしとと窓を打つその音は、まるで過去を洗い流すようだった。

誰にも言わなかった。
咲良にも、結月にも。
職場でも、普段通りの顔で振る舞った。
けれど、心のどこかで、何かが確かに変わったとわかっていた。

それから一週間後の金曜。
紗江は静かに、いつものホテルの部屋にいた。
ドアが開く音とともに、彼が入ってくる。
その姿に、胸が高鳴る。

「……待たせた?」

「ううん。ずっと、待ってたのは私だから」

光貴は何も言わず、彼女をそっと抱きしめた。
その腕が、まるで帰る場所のようで、紗江は目を閉じた。

「俺も……終わらせた。さっき、サインしたよ」

その言葉に、紗江の胸が締めつけられる。
安堵と、痛みと、確かな幸福。

「……本当に、よかったの?」

「……後悔なんて、してない」

そう言って唇を重ねたその瞬間、すべての感情が一気に溢れた。

ベッドに倒れ込むと、互いの呼吸が絡み合い、すぐに熱を帯びていく。
衣服がひとつ、またひとつと落ちていき、肌と肌が触れ合う。

「……やっと、君を抱ける。何も背負わずに」

「……もう、離さないで」

光貴の舌が首筋を這い、胸元へと降りていく。
紗江の指先は、彼の背を掴みながら、低く震えた声を漏らす。

「……もっと、奥まで……光貴さん、わたしを、溶かして……」

「君が……こんなにも綺麗に、俺に溺れてくれるなんて……」

声と声が絡み、熱と熱が昇っていく。
目を逸らさず、すべてを見つめ合いながら、愛の深淵へと沈んでいくふたり。

幾度も名前を呼び合い、震えるほどに快楽を重ね、
夜が、夜のまま、明けていく。

窓の外がうっすらと青みを帯びる頃、
紗江は彼の胸元で、静かに囁いた。

「ねえ……これからの未来に、正解なんてないかもしれないけど」

「君が隣にいるなら、それでいい」

光貴の手が、指を絡めてくる。
そのぬくもりを、紗江はそっと握り返した。

それは、再生の夜。
そして、ふたりにとって、初めての“朝”だった。
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