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夜をほどく
第20章 それでも、愛している

静かなバーの奥。
ふたりのグラスには、もう何度目かのウイスキーが注がれていた。
「……こんな日々が、いつまで続くと思う?」
紗江の問いかけに、光貴は視線を伏せた。
氷が溶ける音だけが、妙に耳に残る。
「正直に言えば……わからない。俺たちは、地図のない道を歩いてるようなもんだ」
「それでも、私は……この道を歩いていたいと思ってる。
たとえ、誰に何を言われたとしても」
その言葉に、光貴は顔を上げた。
彼の目には、苦しみと共に、熱が宿っていた。
「……なぜ、そこまで俺を?」
「あなたが……私を、女にしてくれたからよ」
その言葉は、あまりに静かで、けれど熱を孕んでいた。
ふたりの間に、一瞬の沈黙が流れ――
「……帰りたくない」
光貴が、ポツリと漏らした。
「じゃあ……来る?」
そのひとことに、彼は頷いた。
部屋に着くと、ふたりは何も言わず抱き合った。
その夜、愛撫は激しくも優しく、どこか哀しさを孕んでいた。
「こんなふうにしか、君を守れない自分が悔しい」
「守ってくれてる。十分すぎるくらい」
交わされるキスは、何度も何度も、
過去の傷も、今の痛みも、すべてを塗り替えるように。
「好き……本当に、好き……」
「俺も……狂おしいほど」
彼の指が、彼女の肌をなぞる。
熱くなった胸元に口づけを落とすたび、紗江は微かに震えた。
一線を越えることが罪だとしても、愛はそれ以上の覚悟だった。
「……ねえ、今だけは全部、忘れて」
「わかった。今夜は、ただ君のためにいる」
ふたりの呼吸が重なり、
熱と吐息、愛の残響だけが部屋に残っていく。
まるで、明日が来ないことを願うかのように。
ふたりのグラスには、もう何度目かのウイスキーが注がれていた。
「……こんな日々が、いつまで続くと思う?」
紗江の問いかけに、光貴は視線を伏せた。
氷が溶ける音だけが、妙に耳に残る。
「正直に言えば……わからない。俺たちは、地図のない道を歩いてるようなもんだ」
「それでも、私は……この道を歩いていたいと思ってる。
たとえ、誰に何を言われたとしても」
その言葉に、光貴は顔を上げた。
彼の目には、苦しみと共に、熱が宿っていた。
「……なぜ、そこまで俺を?」
「あなたが……私を、女にしてくれたからよ」
その言葉は、あまりに静かで、けれど熱を孕んでいた。
ふたりの間に、一瞬の沈黙が流れ――
「……帰りたくない」
光貴が、ポツリと漏らした。
「じゃあ……来る?」
そのひとことに、彼は頷いた。
部屋に着くと、ふたりは何も言わず抱き合った。
その夜、愛撫は激しくも優しく、どこか哀しさを孕んでいた。
「こんなふうにしか、君を守れない自分が悔しい」
「守ってくれてる。十分すぎるくらい」
交わされるキスは、何度も何度も、
過去の傷も、今の痛みも、すべてを塗り替えるように。
「好き……本当に、好き……」
「俺も……狂おしいほど」
彼の指が、彼女の肌をなぞる。
熱くなった胸元に口づけを落とすたび、紗江は微かに震えた。
一線を越えることが罪だとしても、愛はそれ以上の覚悟だった。
「……ねえ、今だけは全部、忘れて」
「わかった。今夜は、ただ君のためにいる」
ふたりの呼吸が重なり、
熱と吐息、愛の残響だけが部屋に残っていく。
まるで、明日が来ないことを願うかのように。

