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夜をほどく
第31章 触れあう夜
「……もう少しだけ、話していきませんか?」

佐伯の申し出に、紗江は少しだけ迷ってからうなずいた。

行き先は、会社近くの小さなバー。
柔らかなジャズが流れ、琥珀色の照明が二人を包んでいた。

グラスの中で氷が音を立てる。
佐伯はウイスキーを少しだけ口に含み、紗江を見つめる。

「……俺、ずっとあなたに惹かれてました。
強くて、でも時々脆そうなところ。見てて……放っておけなかった」

その言葉に、紗江の胸がきゅっと締めつけられる。

「そんな風に見えてたんだ……私、自分じゃ全然わからなかった」

佐伯がそっと彼女の頬に触れる。
その手は、熱を含んでいて、震えていた。

「……触れても、いいですか?」

紗江は答えなかった。ただ、目を伏せてうなずいた。

次の瞬間、唇がそっと重なり合った。
やさしく、慎重に、でも確かに求め合うように。

触れた肌の奥に、まだ誰のものでもない温もりがあった。
それは、過去の痛みをなだめるような、穏やかで甘い熱だった。

「……佐伯さん……」

彼女の声は震えていたが、それは恐れではなかった。
もう一度、誰かを信じてもいいのかもしれない。
そう思える、かすかな光がそこにあった。
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