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夜をほどく
第43章 崩壊の前夜、交わる欲望

「もう全部、どうでもいい……」
低く吐き出された佐伯の言葉に、紗江は静かに首を振った。
「どうでもよくなんかない。……けど、あなたと離れる方が怖い」
この夜は、もう理性で覆い隠すことなどできなかった。
鍵をかけたホテルの部屋、カーテンは閉ざされ、外の世界は遠ざかっていく。
ただ、熱と吐息だけが濃く部屋に満ちていった。
シャツのボタンを外すたびに、心の枷がひとつずつほどけていく。
「俺を……本当に欲しがってる?」
問いに、紗江は彼の指に自らの唇を這わせた。
「あなた以外、いらない」
交わす言葉のすべてが、情欲の火に油を注ぐ。
指先が髪を梳き、肌をなぞり、鼓動の速さで互いの確かさを確かめ合う。
「……紗江……俺、お前がこんなに綺麗なの、知らなかった」
「見ようとしなかったくせに」
吐息まじりに笑った紗江に、佐伯は唇を落とす。
絡め取るようなキスに、心が蕩けていく。
それはまるで、崩壊の前夜にだけ許される、最後の陶酔。
愛か、欲か、どちらでもいい。ただ、彼女はこの夜、彼のすべてに包まれていた。
この一線を越えた先に、何が待っているかなど、考える余地はもうなかった。
低く吐き出された佐伯の言葉に、紗江は静かに首を振った。
「どうでもよくなんかない。……けど、あなたと離れる方が怖い」
この夜は、もう理性で覆い隠すことなどできなかった。
鍵をかけたホテルの部屋、カーテンは閉ざされ、外の世界は遠ざかっていく。
ただ、熱と吐息だけが濃く部屋に満ちていった。
シャツのボタンを外すたびに、心の枷がひとつずつほどけていく。
「俺を……本当に欲しがってる?」
問いに、紗江は彼の指に自らの唇を這わせた。
「あなた以外、いらない」
交わす言葉のすべてが、情欲の火に油を注ぐ。
指先が髪を梳き、肌をなぞり、鼓動の速さで互いの確かさを確かめ合う。
「……紗江……俺、お前がこんなに綺麗なの、知らなかった」
「見ようとしなかったくせに」
吐息まじりに笑った紗江に、佐伯は唇を落とす。
絡め取るようなキスに、心が蕩けていく。
それはまるで、崩壊の前夜にだけ許される、最後の陶酔。
愛か、欲か、どちらでもいい。ただ、彼女はこの夜、彼のすべてに包まれていた。
この一線を越えた先に、何が待っているかなど、考える余地はもうなかった。

