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社長は彼女の“初めて”を知っている
第1章 仮面の女

その日は、いつも一緒のマネージャーが珍しく休暇を取っていて、私と加賀見社長、ふたりだけでの打ち合わせだった。
高層ビルの応接室で、ドラマの制作サイドとの顔合わせとスケジュール確認を終えると、加賀見さんはにこやかに一礼して言った。
「では、よろしくお願いします。」
元営業職だったというだけあって、その立ち居振る舞いには無駄がない。
にこやかで丁寧、それでいて相手の懐にするりと入り込む“言葉の魔術師”みたいな人だ。
私はそれを横目で見ながら、少し不思議な気分になっていた。
社長と二人で現場に来るなんて、初めてのことだったから。
応接室を出たエレベーター前。
加賀見さんが私の顔を見て、ぽつりと呟いた。
「しかし……玲奈。よくこんな役、引き受けたな。」
「……“こんな役”?」
高層ビルの応接室で、ドラマの制作サイドとの顔合わせとスケジュール確認を終えると、加賀見さんはにこやかに一礼して言った。
「では、よろしくお願いします。」
元営業職だったというだけあって、その立ち居振る舞いには無駄がない。
にこやかで丁寧、それでいて相手の懐にするりと入り込む“言葉の魔術師”みたいな人だ。
私はそれを横目で見ながら、少し不思議な気分になっていた。
社長と二人で現場に来るなんて、初めてのことだったから。
応接室を出たエレベーター前。
加賀見さんが私の顔を見て、ぽつりと呟いた。
「しかし……玲奈。よくこんな役、引き受けたな。」
「……“こんな役”?」

