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社長は彼女の“初めて”を知っている
第2章 一夜

今日は、事務所の飲み会だった。
久しぶりにスケジュールが空いて、みんなで集まった気さくな場。
私は一番奥の席に座り、周囲の喧騒にまぎれながら静かにグラスを揺らしていた。
けれど。
私の真正面に座ったのは──加賀見さんだった。
あのキスの一件以来、無意識のうちに距離を取っていたのに。
どうして今日に限って、こんな配置なんだろう。
席替えとかしてくれればいいのに、と思いながら、視線を合わせないようにしていた。
すると、不意に居酒屋のテレビから音がした。
「──話題のCM、朝倉玲奈さんが出演!」
え、と振り返ると、店内のテレビに私の姿が映っていた。
つい先日撮影したばかりのCM。
黒のドレス、緩やかなカメラワーク。
横顔に流れる髪、指先のしなやかな動き。
久しぶりにスケジュールが空いて、みんなで集まった気さくな場。
私は一番奥の席に座り、周囲の喧騒にまぎれながら静かにグラスを揺らしていた。
けれど。
私の真正面に座ったのは──加賀見さんだった。
あのキスの一件以来、無意識のうちに距離を取っていたのに。
どうして今日に限って、こんな配置なんだろう。
席替えとかしてくれればいいのに、と思いながら、視線を合わせないようにしていた。
すると、不意に居酒屋のテレビから音がした。
「──話題のCM、朝倉玲奈さんが出演!」
え、と振り返ると、店内のテレビに私の姿が映っていた。
つい先日撮影したばかりのCM。
黒のドレス、緩やかなカメラワーク。
横顔に流れる髪、指先のしなやかな動き。

