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純潔の檻 ―敵国の騎士に囚われて―
第1章 堕ちた城
戦火の中、王族である私たちは、城の最上階――石造りの塔へと避難していた。

冷たい石の床に、怯えきった弟と妹が膝を抱えてうずくまっている。

まだ幼いふたりは、現実を理解しきれていない。ただ震えて、私の顔を見上げてくるだけ。

「大丈夫。必ず守るわ。」

私はそう言って、ふたりの小さな手を握った。

指先がかすかに震えるのを、無理に抑え込む。

兄弟に不安を悟られてはならない。私は王女。父王の血を継ぐ者なのだから。

「リュシア姫……!」

慌てた声が階段の上から響いた。老いた家臣――爺やが駆け込んでくる。

「敵国の兵が、塔の入り口に迫っております!時間が、もう……!」

私はすぐさま塔の窓に駆け寄り、外を見下ろした。
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