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純潔の檻 ―敵国の騎士に囚われて―
第1章 堕ちた城

城門は破られ、火の手が上がっていた。瓦礫と血の中を、黒銀の鎧に身を包んだ敵兵たちが進軍している。
その中央には、異様な存在感を放つ騎士の姿――ヴァルゼン帝国の第一騎士団長。
名はゼノ・ヴァルトハルト。
その顔を見た瞬間、背筋が冷たくなった。
あの男が、この塔を目指している。
「爺や。」私は振り返り、幼い弟と妹を見やる。
「このふたりを連れて、地下の通路から脱出してください。」
「し、しかし姫様は……!」
「私は残ります。」
きっぱりと言い切った私に、爺やは言葉を失ったように見つめる。
「父王はもう捕らえられました。この国で最後に民の希望となる者がいるとすれば、それは私です。王家の名を穢さぬためにも……ここに、立たねばなりません。」
その中央には、異様な存在感を放つ騎士の姿――ヴァルゼン帝国の第一騎士団長。
名はゼノ・ヴァルトハルト。
その顔を見た瞬間、背筋が冷たくなった。
あの男が、この塔を目指している。
「爺や。」私は振り返り、幼い弟と妹を見やる。
「このふたりを連れて、地下の通路から脱出してください。」
「し、しかし姫様は……!」
「私は残ります。」
きっぱりと言い切った私に、爺やは言葉を失ったように見つめる。
「父王はもう捕らえられました。この国で最後に民の希望となる者がいるとすれば、それは私です。王家の名を穢さぬためにも……ここに、立たねばなりません。」

