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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第13章 一気呵成のカタルシス
表情は笑顔のままなのに、楓の纏う雰囲気が一変し、裕樹の背中にゾクリと震えが走る。

楓の視線から目を逸らすことは不可能で、まるでメドゥーサに見つめられて、石にされたように硬直した。

「アキくんは、おっぱい大好きだもんね?小説読んでて、すごく伝わったわよ……。そんなアキくんに会うと思ったら、無意識に色気が滲んじゃって、今日はお化粧のノリまで良くて。きっと体を舐め回すように観察されちゃうなぁって、想像してたの。」

なるべく胸から視線を逸らそうとした裕樹の努力は虚しく、楓には全て見透かされていた。

だが、言い訳をするにも葵とこのやり取りをした事を、裕樹は小説にすでに書いている。

それもあって裕樹は、否定することを諦めた。

「…うん…。すごく大きいから見ちゃい…見ちゃった。」

社会人になった今でも、楓の大人びた雰囲気の前では、自分が子供のように感じられる。

思わず敬語になりそうなのを、裕樹は慌てて崩した。

楓は背もたれに軽くもたれながら、その豊かな膨らみを前に突き出す形になる。

「葵ちゃん、Iカップって言ってたよね?」

そう言って楓は軽く息を吐くと、胸がゆっくり上下に揺れた。

「でもね、私はJカップなの。私のことも葵ちゃんみたいにアキくんに観察して…?」

楓の無防備に見える何気ない動作。

けれど裕樹には、それが甘い挑発以外の何物でもなかった。

この個室から空気が当然消え失せたのか、一瞬で理性が蒸発して呼吸の仕方を忘れたのか、呼吸が細切れになり、何度も空気を求めて口を開けた。

目の前で大きく揺れる双丘のことしか、考えられなくなっていた。

「楓さんのこと、観察したい…ずっと見ていたい…。」

「見ているだけで満足できるなんて、アキくんには無理なんじゃない…?ほら。」

楓は太腿の上で拳を握る裕樹の手を、ゆっくりと開いて指先を撫で、静かに自身の胸に押し付けた。

手を前に伸ばして押し込むほど、柔らかさが溢れるように形が変わる。

楓の豹変ぶりと、突如として押し寄せる官能に、心臓が内側でのたうち回るように跳ねた。
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