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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第18章 混り合う澱のひとしずく
裕樹の問いかけにナツが答えるまでに、僅かな間があった。

乳肉の感触を楽しむ手が止まり、ナツの言葉を待つ僅かな緊張が走る。

「……ツアコンやってた時の同僚。今は飲み仲間としてたまに会ってる。」

ナツの言葉に後ろめたさなどは無く、さらりと言ってのけた。

「飲み仲間……なんだ。その人とはこういうことはしないの?」

裕樹は指先に少しだけ力を入れて、ナツの胸を揺らす。

「まさか。私、おじさんは嫌いだもん。裕樹のことを話したの。そしたらね、この場所が今度からメンテナンスになるから、その前なら使って良いよって教えてくれたの。」

「ツアコンの伝手ってすごいね……。」

裕樹はリゾートホテルのようだと改めて辺りを見回した。

「てか、俺のこと話したって、どういうこと?」

ナツはばつが悪そうに笑いながら、裕樹の手の甲に手を重ねる。

「最近どう?ってお互い聞かれた時に、若い子と知り合ったって言ったら、すごい食いついてきた。」

知り合った──

そのニュアンスはどこまでのことを話したのか、具体的な表現を避ける言い方だった。

中学生や高校生がヤッたかヤッてないか、と下世話な話を、下品にならない自然な言い方。

「どんなこと言ってたの……?」

「それは奇跡だって笑ってた。」

ナツは笑いながら、思い出すかのようにぽつりと語った。

「そんな若い子と知り合うなんて、普通は有り得ないよって。奇跡の時間を楽しめって言ってた。」

ナツはそう言って肩をすくめて笑い、裕樹の肌理を確かめるように、そっとその腕を撫でた。

奇跡の時間というその言葉に、裕樹の感情は複雑に絡まり合う。

この欲望を共有する関係は、ナツやその同僚の男にとっては刹那的なものであるらしかった。

砂時計の砂は落ち続けていて、裕樹はその底を見ないふりをしたかった。

いつか終わる関係という危うさすらも、この夜に燃やし尽くしてしまいたいと裕樹は思った。
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