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四谷荒木町の女〜再会の熱い夜
第2章 再会と誘惑

「ご馳走さま」
「毎度あり」
会計を済ませ、豆絞りの手拭いを頭に巻いた大将の威勢の良い挨拶を背に、混んできたラーメン屋を出た。外には客の列が。人気店らしい。味噌ラーメンを頼んだら、これがなかなかうまかった。
取材も無事に終え、思いがけずうまい晩飯にも巡り会えた。
……酒でも飲んでいくかな。
春の宵の風に吹かれながら、あの辺には塩対応だったがうまい蕎麦屋があったとか、ここには手狭な立ち飲み屋があったとか、記憶に残っている四谷荒木町と今の街を重ね合わせ、ぶらぶらと歩きながら懐かしい気分に浸る。
サラリーマンだった当時によく通った焼き鳥屋はスナックになっていた。見たところ、くたびれてはいたが建物は当時と変わらない。店の前に「スナック美和」と書かれた看板があった。
……ちょっとだけ寄ってみるか。
店の黒いドアをそっと開ける。ひと気のない薄暗い店内はしんとしていた。
「こんばんは」
開店前だったかと、遠慮がちに声をかけた。そういえば表の看板は明かりが灯っていなかった。
「あ、いらっしゃいませ」
「あのう。やっていますか?」
「毎度あり」
会計を済ませ、豆絞りの手拭いを頭に巻いた大将の威勢の良い挨拶を背に、混んできたラーメン屋を出た。外には客の列が。人気店らしい。味噌ラーメンを頼んだら、これがなかなかうまかった。
取材も無事に終え、思いがけずうまい晩飯にも巡り会えた。
……酒でも飲んでいくかな。
春の宵の風に吹かれながら、あの辺には塩対応だったがうまい蕎麦屋があったとか、ここには手狭な立ち飲み屋があったとか、記憶に残っている四谷荒木町と今の街を重ね合わせ、ぶらぶらと歩きながら懐かしい気分に浸る。
サラリーマンだった当時によく通った焼き鳥屋はスナックになっていた。見たところ、くたびれてはいたが建物は当時と変わらない。店の前に「スナック美和」と書かれた看板があった。
……ちょっとだけ寄ってみるか。
店の黒いドアをそっと開ける。ひと気のない薄暗い店内はしんとしていた。
「こんばんは」
開店前だったかと、遠慮がちに声をかけた。そういえば表の看板は明かりが灯っていなかった。
「あ、いらっしゃいませ」
「あのう。やっていますか?」

