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第1章 変わりゆく街で

　興味を持ったからと、ナンパするには歳をとり過ぎた。それに若い頃から道端でナンパなどしたこともない。女性にモテる男という自負はまったく無いが、物ごころついた頃から周囲に女性がいた。高校生の時に、付き合っていた女の子と初体験を済ませ、その後も大学生から社会人へと、それぞれの年代で恋人がいた。彼自身は、女性経験に関しては平凡な男であると思っていた。

　……しかしだ。昨今の男たちは童貞率が高いと聞く。セックスどころか、女性と付き合った経験が皆無の中年男性も少なくない。意外な統計結果だが、まあ……恋愛事情は人それぞれだ。

　女を落とす必勝法など存在しない。ハンサムだから美男子だからと、必ずしもモテるものでもない。

　どうすれば恋人ができるのか？　
　どうすれば女を抱けるのか？　
　どうしたら万年童貞を卒業できるのか？

　その答えを彼は持っていない。

　ただ、そういう鬱屈した欲求を持っている時点で、その男は女性から敬遠されると思っていた。

　女は余裕のある男に惹かれる。ガッついている男は嫌われるのが昔からのセオリーだ。