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池袋ウエストゲート・ラブホテル〜追われる美女の事情(わけ)
第1章 変わりゆく街で
 艶のある長い髪、色白の小さな顔は赤い口紅が目立つ。白いショートコートに白いブラウスに白いスカート、スカートはタイトで短い。そのミニスカートから伸びている形のよい長い足に、厚底の黒いショートブーツ。ブランドものらしき黒いショルダーバッグ。少し足を開き、真っ直ぐに立って、スマホを操作している。連れは見当たらない。

 若くて綺麗で、いかにも男にモテそうな、そしてそんな自分をわかっている、そういう自信に満ちたオーラを放っている。キャバ嬢ほどには化粧は濃くない。平日の午前中だから、水商売の彼女らはまだ寝ている。

 ……これからデートの待ち合わせ場所へ行くのかな。友人に会うのかもしれない。

 そんなことを考えたのは一瞬だけだ。その女の横を通り過ぎるときに、彼の頭をよぎった。それだけだ。

 東京の都会には綺麗な女性が多い。だから佇んでいた彼女が特別に珍しいわけでもない。灰色のビルの、雨染みでまだらに黒ずんだ外壁の前に、白ずくめのミニスカートの若い美女が立っていたら目立つ。男だったら尚さらに興味をそそられる。それは生理的に自然な衝動だ。
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