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池袋ウエストゲート・ラブホテル〜追われる美女の事情(わけ)
第7章 別れのとき
 名前と電話番号とLINEのIDだけ。仕事用の名刺だろう。

「それじゃあ。またね」

 微笑んだ美女がホテルの受付に電話を入れ、部屋のドアの鍵を開けさせる。手慣れたものだ。

「ありがとう。神岡さん」

 ぱっと抱きついてキスをしてから、ドアを開けて出て行った。



 急ぐ必要のない彼はゆっくりシャワーを浴びた。服を着て会計を済ませる。ラブホテルから外へ出ると、すでに午後になっていた。四時間以上もラブホテルで過ごしたことになる。

 ホテルの出口で怖いお兄さんたちが彼を待ち構えて……いなかった。無論、美人の娼婦の姿もどこにも見えない。

 ……そういえば昼飯を食っていないな。どうりで腹が減っているわけだ。飯も食わずにぶっ続けでセックスしていたら、そりゃあ腹も減る。どこかで食っていこう。
 
 人の姿が増えてきた池袋の街を駅に向かってぶらぶら歩きながら、神岡は考える。

 セックスワークの女性たちは、脅迫されたり強要されて仕方がなくやっているケースもあるかもしれない。だが彼女らの多くは、自ら進んでその道を選んだ。手っ取り早く大金が手に入るからだ。ミカのような大卒の娼婦だっている。
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