パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第2章 追われる女

　ビルのあいだを歩き、大通りへ出たら、信号のある横断歩道を渡る。車一台がやっと通れる一方通行の狭い道を行くと、Ｔ字路に突き当たる。右を左もラブホテルが並んでいるその界隈が目的地だ。池袋のラブホテルは東口の南池袋公園付近とサンシャイン通りの周辺にも散在しており、そっちはすでに行ってきた。

　若い頃にしばしばお世話になった思い出のあるホテル街（西口のこちらのほうが料金が安い）だが、久しく訪れていなかった。令和の今の風景を作家の目線で見るため、彼自身の記憶を更新するためにやってきた。

　池袋という街の、誰しもが知っている表の顔と裏の顔が今回のコラムのテーマだ。巨大デパートや駅の周辺の繁華街、人気小説の舞台になった池袋西口公園や、リニューアルによって明るい芝生の広場におしゃれなカフェレストランが併設された池袋南口公園、そしていつの時代も華やかなサンシャイン通りなどが表の顔だ。そして池袋には知る人ぞ知るエリアがある。それが裏の顔、池袋に昔から存在するラブホテル街だ。