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池袋ウエストゲート・ラブホテル〜追われる美女の事情(わけ)
第2章 追われる女
 そんな、都内では有数のラブホテル街であっても、さすがに平日の午前中は活気が無い。現状を見たいだけで、ホテルを利用するつもりは無かったから、人通りが無いのはむしろ都合が良い。連れもいない中年男がウロウロと行ったり来たりしているのを怪しまれずに済む。

 ひと気が無いといえども、邪魔にならないように道の端に立ち、真っ昼間のラブホ街の風景を写真に撮る。執筆用の資料だから解像度が高くなくてもよい。スマホのカメラで十分だ。

 通りの端から撮ってみたり、ぐるっと裏通りまで回ってみたり、あのホテルは以前と変わっていないとか、こっちのホテルは違う名前だったとか、記憶を辿りながら、目立たないように散策する。

 一時間ほど経った頃に、後ろから足音が近づいてきた。振り向く前に、さほど強くない力で肘のあたりを掴まれた。

「助けて。お願い」

 切羽詰まった様子の若い女だ。大きな目で神岡を見つめる。黒髪のロングに白いミニスカート、黒いブーツ。足がすらっと長い。

 ……綺麗な女……だが。さっき見た白ずくめの美人か?
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